「SLもおか」に乗る横見浩彦さん。その活躍は鉄道ブームの裾野を広げた=2018年8月、茨城県筑西市

惜別 横見浩彦さん(トラベルライター)

 国内すべての鉄道駅で乗下車を達成したことで知られるトラベルライターの横見浩彦さんが1月19日に亡くなりました。63歳。急性心不全でした。その死から半年が経ちましたが、「テツ」仲間から惜しむ声がやみません。

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 鉄道に人生を捨てた――。

 その言葉に、周囲の誰もがうなずいた。

 小学生の時に時刻表に出会い、慣れ親しみ、いわく「普通の流れ」でテツになった。乗るために定職に就かず、乗るためにアルバイトに励んだ。人生を懸けて鉄道趣味を貫いた。

 JRの全4636駅(当時)で乗下車を達成したのは1995年10月のことだった。その顚末(てんまつ)をつづった著書「乗った降りたJR四六〇〇駅」が世に出ると、テツの間に衝撃が走った。

「鉄道趣味メジャーにしたい」 漫画「鉄子の旅」で案内人役

 全ての鉄道路線に乗る「完乗(かんじょう)」をめざす文化は長くあった。だが全ての駅で乗り降りしたという。

 「どういうこと? 信じられ…

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