日清食品の元契約社員の男性(66)=大津市=が30日、違法なサービス残業を訴える公益通報をしたことで不当に低い人事評価を受け、退職を強いられたとして、未払い賃金や慰謝料など計約1200万円の支払いを求める訴訟を大津地裁に起こした。
訴状などによると、男性は2018年から滋賀県内の工場に勤務。即席麺製造に従事していた。21年ごろ、クリーンルーム用作業着への着替えなど業務上必要な作業が労働時間に含まれていないこと、5分単位未満のサービス残業が続いていること、職場の安全環境の問題点を上司に指摘した。しかし改善が見られず、賃金支払い義務に違反しているとして労働基準監督署に通報した。
同社側は22年秋ごろ、監督署の指導を受け、工場で働く社員について、1日20分のみなし労働時間を加算し、残業代を1分単位で支払う措置をとった。男性は23年末、人事評価が低いことを理由に工場管理者から退職勧奨を受けた。何度も退職を拒んだが、24年3月に自主退職したという。
親会社の日清食品ホールディングスの広報担当者は「訴状が届いていないため、コメントは差し控えます」としている。