Smiley face
写真・図版
神村学園―関東第一 四回表神村学園2死二塁、上川床の先制適時打で生還し声を出す走者正林(中央)=白井伸洋撮影

 第106回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場している神村学園は大会第13日の21日、関東第一(東東京)に1―2で逆転負けして、初の決勝進出を逃した。エース今村拓未投手(3年)の快投や、九回表の粘り強い攻撃に観衆から惜しみない拍手が送られた。

 ◎…神村学園は四回、中前打で出塁した4番正林を犠打で二塁に進め、上川床が中前適時打。手堅く先制点を挙げた。

 先発のエース今村は安定した立ち上がりで六回まで被安打ゼロ。連続四球などでつくった六回1死二、三塁のピンチも無失点で切り抜けた。

 試合が動いたのは七回裏。関東第一の先頭打者に初安打を許すと、1死二塁から右翼線二塁打を浴びて同点に追いつかれた。続く打者の打球を二塁手増田が後逸。2点目を失い、逆転された。

 神村打線は六回から登板した関東第一のエース坂井を攻めあぐねたが、九回表に岩下、上川床の連打で1死一、二塁の絶好機。2死から代打の玉城が中前打を放つと、二塁走者の岩下は「迷いはなかった」と三塁を蹴ったが、相手の中堅手飛田の好返球で本塁タッチアウト。試合終了となった。(安田朋起)

「つなぐ意識だけ」勝負強い6番打者 上川床選手

 「よし同点だ」

 九回表2死一、二塁から神村学園の代打玉城功大選手(3年)の打球が中堅に抜けていくのを見て、一塁走者上川床勇希選手(3年)は思った。

 ところが二塁走者岩下吏玖選手(3年)は、中堅手の好返球でタッチアウト。上川床選手はしゃがみ込み、すぐには動けなかった。

「ボーンヘッドやエラーが出て、自分たちのことができなかった」と悔しがった。

 鹿児島大会では打率1割8分8厘と振るわなかったが、「打つときに右の骨盤を上げる」ようにすると今大会は5試合で22打数11安打7打点。勝負強い6番打者としてチームが2年連続で4強入りする立役者になった。

 この日も四回2死二塁から中前に適時打を放ち、貴重な先取点をもたらした。「後ろにつなぐことを意識してやっているだけ。打点は、前の打者が塁に出てくれたおかげ」と話す。

 今大会、打撃が振るわなかった不動の4番正林輝大選手(3年)に対しては「後ろには岩下や俺がいるから思い切りバットを振ってくれ」と励まし続けた。

 「本気で日本一をめざしていたので悔しい」と話す一方、「甲子園に来られて2年連続でベスト4に入れたのはうれしい」とも。目標を達成できなかった悔しさと、好成績を収めた達成感がないまぜになった心境をのぞかせた。(宮田富士男)

唯一の打席「代打で結果」 玉城選手

 今大会初めての出場で、「打ってこい」と小田大介監督に送り出された。

 九回表2死一、二塁、重圧のかかる場面で代打の打席に立ったのは、背番号13の玉城功大選手(3年)。5球目の直球をはじき返すと、中前に抜けていった。

 鹿児島大会では背番号7をつけており、悔しい思いを引きずっていたという。得点にはつながらなかったが、唯一で最後の機会に、結果を残した。「あきらめずに準備してきてよかった」(宮田富士男)

共有