報道各社のインタビューに答えるドイツ外務事務次官のジェニファー・モーガンさん=2024年6月19日、ドイツ大使館、石井徹撮影

 ドイツは昨年、脱原発を達成し、再生可能エネルギーが電源比率の5割を超えた。ところが日本では、ドイツについて、ウクライナ戦争などの影響で電力価格が高騰したため、気候変動政策が失速し、原発回帰を検討しているといった言説が絶えない。6月に来日したジェニファー・モーガン外務事務次官兼国際気候政策担当特使に実態を聞いた。

 私たちは、加速する気候危機の中にいる。同時にウクライナなど各地で戦争が起きている。この間にドイツは、エネルギーシステムの大きな変化を経験した。

 ロシアに55%を頼る天然ガスを10カ月で削減するのは大きな挑戦だったが、政府は3月にエネルギーシステムの危機を脱したと宣言した。エネルギー価格は以前の水準に戻っている。

 電力の再エネの割合は58%で、電力システムは非常に安定している。2030年までに再エネ80%をめざしており、再エネはエネルギーと経済の安全保障の基盤となっている。

「再び原発に戻るのではと聞かれるが」

 2年半前に誕生したショルツ…

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