ソウルの韓国大統領府で2025年6月4日、記者会見し、政府高官らの人事を発表する李在明(イジェミョン)大統領(左から3人目)。代表撮影=東亜日報提供

 韓国大統領に4日、進歩(革新)系政党・共に民主党の李在明(イジェミョン)氏が就任した。就任演説では「分裂の政治を終わらせる大統領になる」と述べ、深まる政治・社会の分断の克服に努める意志を強調した。新政権の中核となる首相や大統領府幹部の人事も発表し、大統領としての初日をスタートさせた。

 演説で李氏は、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領による非常戒厳を念頭に「銃剣で国民主権を奪う内乱は二度と繰り返してはいけない」とし、「徹底した真相究明で相応の責任を問い、再発防止策を講じる」と述べた。

 そのうえで「(意思)疎通と対話を取り戻し、譲歩、妥協する政治をよみがえらせる」などと強調した。

 韓国では保守系と進歩系の厳しい対立が続き、尹氏の弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)や今回の大統領選を通じて溝はさらに深まったと指摘されている。分断の克服と国民の統合は新政権の最大の課題の一つだ。

 根深い対立を意識してか、李氏は保守系と進歩系の象徴的な元大統領の名前を挙げ、「朴正熙(パクチョンヒ)の政策も金大中(キムデジュン)の政策も、必要で有用なら区別なく使うだろう」と述べた。

 この日の昼には与野党の代表らとの昼食懇談会に臨み、「対話し、認め、実質的に競争する政治を」と呼びかけた。統合に努力する姿を演出した形だが、李氏自身も尹政権と激しい対立を繰り返してきただけに、今後、実質的な成果を出していけるかが問われる。

 人事にも着手し、首相候補には国会議員で側近の金民錫(キムミンソク)氏を指名。外交・安全保障政策を統括する大統領府の国家安保室長に魏聖洛(ウィソンラク)元駐ロシア大使、情報機関の国家情報院長に李鍾奭(イジョンソク)元統一相を起用することなどを明らかにした。

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