本山力

 エキストラ出身でいまも斬られ役の俳優が、アクション時代劇で迫真の立ち回りを見せる。11月1日公開の映画「十一人の賊軍」に出演する本山力は、刀や槍(やり)の使い手として腕をふるう。その正体は。

 今春公開された「碁盤斬り」の撮影中、白石和彌監督に「槍って使えるんですか。一度見せてもらえますか」と聞かれた。東映京都撮影所に所属する殺陣専門の俳優集団、東映剣会の一員。時代劇の立ち回りには欠かせない存在だ。

 槍の動きを1分ほど見せ、台詞(せりふ)もしゃべった。少し経って送られてきた台本をめくると、山田孝之や仲野太賀ら主役に並んで自分の名前があった。「ごっついええ役やん」

 戊辰戦争で旧幕府軍からの寝返りを謀る新発田藩は、罪人たちに官軍の進撃を食い止めるよう命じる。罪人のなかで、爺(じ)っつぁんと呼ばれる老武者が本山だ。生き残れば放免される罪人のなかで、立ち位置が違う。

 「死に場所を探しているんです」。素性は明かされないまま、見事な立ち回りや槍さばきを披露する。

 現場では、本山を知らない人から「むちゃくちゃいいっすね!」と言われたとか。本人は「10年ぐらい前の京都だったらこれぐらい普通ですよ」とこともなげだ。

 腰を落とした低い姿勢で構え…

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