スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)の一場面を表現した巨大タペストリーの特別展示が11日から、名古屋市東区東桜1丁目の愛知県美術館で開かれている。作品は、フランス・オービュッソン国際タピスリーセンターが約2年かけて精巧に作り上げたもので、日本初展示となる。8月17日まで。
展示は、2005年に開かれた愛知万博の20周年記念事業「愛・地球博20祭」と、今月13日に開幕する「大阪・関西万博」との連携企画。タペストリーは高さ約3.05メートル、幅7.57メートルで、映画を象徴する「カオナシと対面する千尋」の場面が織られている。
オービュッソンでは15世紀ごろからタペストリーが織られており、2009年にはこの地方の作品と伝統的な技術がユネスコの無形文化遺産に登録された。同センターでは19年から、宮崎監督のアニメ映画の場面を巨大なタペストリーとして織り上げるプロジェクト「空想の世界を織る」に取り組んでいる。これまでに4作品が完成したという。
会場では、タペストリーの制作過程を紹介する資料や下絵、試し織りなどが展示され、オービュッソンの伝統技術に触れることができる。
スタジオジブリの西岡純一・広報・学芸担当スーパーバイザーは「高い技術力と熱意に圧倒された。迫力とあでやかさ、手織りの温かみを感じることができた」と話した。
また、大阪・関西万博のフランスパビリオンでは、映画「もののけ姫」の一場面(森の中のアシタカとヤックル)を表現した作品が日本初公開される。
観覧料は一般500円、高校・大学生300円、中学生以下無料。原則祝日を除く月曜日と6月9日~7月3日は企画展の展示替えのため休館。