「抗日戦争勝利70年」を記念した軍事パレードで披露された、中国軍「第2砲兵」(戦略ミサイル部隊)主力兵器の大陸間弾道ミサイル「DF(東風)5B」=2015年9月3日、北京、矢木隆晴撮影

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は16日、世界各国が保有する核弾頭数の推計値をまとめた年次報告書を発表した。中国の核弾頭数は昨年より100発多い600発と推計。各国で兵器の近代化などが進んでいるとし、「新たに危険な核軍拡競争が始まりつつある」と警告した。

 報告書によると、今年1月時点の世界の核弾頭数は1万2241発で、昨年から160発ほど減った。このうち3912発がミサイルや戦闘機に配備されていると推計した。

 中国が保有する600発は、SIPRIが1980年代半ばに中国の記録を取り始めてから最多だという。24発の核弾頭が平時からミサイルなどに配備されていると推計した。

 米ロは冷戦後、老朽化した核兵器を廃棄したため、核弾頭数は減少傾向にあった。だが、報告書は近年、廃棄のペースが鈍化する一方、新たな核兵器の配備が進んでいると指摘。核兵器の改良や近代化も進んでいるとし、減少傾向は数年内に逆転する可能性が高いとみている。

 さらに欧州や中東でも核兵器の保有や開発を検討する国が増えているとし、「冷戦終了後続いてきた核兵器削減の時代は終わりに近づき、代わりに核兵器の備蓄の増加や軍縮協定の破棄といった傾向が明らかにみられる」とした。

 SIPRIは毎年、米ロ英仏中にインドやパキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国が保有する核弾頭数の推計値を公表している。今年1月の国別では、ロシアが5459発、米国が5177発で、両国で全体の約9割を占めた。北朝鮮は昨年と同じ50発と推計した。

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 中国外務省の郭嘉昆副報道局長は16日の記者会見で「中国は自衛的な核戦略を堅持しており、核戦力は一貫して国家安全に必要な最低水準を維持している。軍拡競争には参加しない」と述べた。

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