細谷勇さん=知人提供

 次女と姉に続き、父親に不凍液を飲ませて殺したとして、細谷健一(43)、志保(38)の両容疑者が25日、殺人容疑で再逮捕された。亡くなった父親の勇さん(当時73)を知る人たちは、当時の様子を「急に弱っていった」などと語った。

 親族や知人などによると、勇さんは千葉県東金市出身。高校卒業後、都内の皮革を扱う会社に就職し、独立した。

 1979年には皮革の卸や加工を展開する「ホソヤ産業」(東京都台東区)の代表取締役に就任。長年の友人の男性(83)は「順調に事業を拡大していった」と振り返る。96年には近くに土地を購入し、10階建てのビルを建てた。

 2012年からは事業を多角化し、東京・浅草でホテル経営も始めた。男性は「商才もあったが人柄がいいから営業力があり、売り込むのが上手だった」と振り返る。

「どこにでもいる親子」 突然の入院

 男性は、勇さんと、中学生だった健一容疑者も含めて栃木県にスキー旅行に行ったことがある。健一容疑者はスキーがうまく、親子そろってすべる姿に「どこにでもいる仲のいい親子」と感じていた。

 勇さんは友人らと定期的に花見や自宅でのバーベキュー、ゴルフに興じた。一方で、勇さんの口から家族の話題が出る機会は次第に減っていったという。

 持病の影響もあり、勇さんの入院生活が始まったのは、17年に入ってからだった。見舞いに訪れた男性に勇さんは「検査しても(体調不良の)原因がよくわからない」とこぼし、「もう病院を出られないよ」と冗談交じりに嘆いていたという。

 その年の9月、親族の男性(88)は勇さんの妻から、「勇が入院した」と電話を受けた。

 その日のうちに病院を訪れると、勇さんはベッドから体を起こし、「血尿が出て検査したら入院となった。早く退院するよ」と笑った。男性が帰るときも、病院の玄関まで見送ってくれた。それから3カ月間ほどは変わらず元気だったのを覚えている。

 ところが18年3月ごろに病院を再び訪れると、勇さんは人が変わったように目を閉じて横たわっていた。

 看護師から「大きな声であれ…

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