2018年12月21日、ホルムズ海峡を通る石油タンカー=ロイター

 米国によるイランの核施設攻撃を受け、原油価格が上昇している。世界の原油生産量の3割を占める中東からの供給が滞る懸念が、いっそう高まったためだ。原油高が長引けば、ガソリンをはじめ、さまざまな物価の上昇につながり、家計や企業経営にも打撃となりそうだ。

 原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格は、22日に一時、前週末の終値より4%超上昇し、1バレル=78ドル台をつけた。約5カ月ぶりの高値で、イスラエルによるイラン攻撃前と比べると2割程度高い水準だ。

 今後の動向を左右するのが、イランが報復としてホルムズ海峡を封鎖するかだ。同海峡は、中東各国がペルシャ湾から原油を輸出する際の出口にあたり、世界で供給される原油の2割がここを通るとされる。

 イラン国営テレビは22日、イラン国会がホルムズ海峡の封鎖を承認したと報じた。最終決定はペゼシュキアン大統領をトップとする国家安全保障最高評議会の判断に委ねられるが、実際には最高指導者ハメネイ師の意向が大きく影響するとみられる。

 ただ、イランもこの海峡を通じて原油を輸出している。閉鎖すれば自国の首を絞めるばかりか、周辺国からの反発を招くため、実際に封鎖に踏み切る可能性は高くないとの見方もある。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之・首席エコノミストは「イランが海峡を封鎖しなくても、配下の武装勢力が海峡でタンカーを襲うなどして、中東からの原油供給が滞る懸念がある。トランプ米大統領の出方も読めないところがあり、今後も原油価格は下がりにくいだろう」という。

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