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日本原子力発電敦賀原発2号機=2019年7月25日午前、福井県敦賀市、朝日新聞社ヘリから、筋野健太撮影

 原子力規制委員会は26日、福井県敦賀市にある日本原子力発電敦賀原発2号機について、直下に活断層がある恐れが否定できないとして、新規制基準に適合しないと結論づけた。再稼働は不許可となる公算が大きい。

 同県には、かつて15基の原子炉があった。なかでも敦賀市には、炉型の異なる4基の原発があり、若狭湾沿いの「原発銀座」の中心地だった。

 だが、新型転換炉「ふげん」が2003年に運転を終了し、半世紀前の大阪万博に「原子の灯」をともした沸騰水型の敦賀1号機と、高速増殖炉「もんじゅ」も、福島原発の事故後に相次ぎ廃炉が決定。そこに今回の結論がもたらされた。

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敦賀原発2号機近くの試掘溝で、K断層が活断層かどうかを調査する原子力規制委員会の委員ら=2023年12月14日午前11時11分、福井県敦賀市、佐藤常敬撮影

 ただ、地元自治体や財界関係者の多くは冷静だ。敦賀2号機は、福島事故後の11年5月に原子炉が停止して以降、約13年間、稼働していない。停止状態が長引いたことで、一定の対応が進んできたのだ。

 敦賀商工会議所が、原発の長期停止による関係企業の影響を最後に調べたのは17年にさかのぼる。一時は原発と取引がある企業の約8割が、福島の事故後「売り上げが減った」と訴えた。だが、同会議所中小企業相談所の伊藤祐一所長は「運転停止(の状態)が日常になり、影響で仕事がないという段階は終わっている」と話す。

原発関連は歳入の1割

 敦賀市の幹部も「廃炉になったとしても、財政面ではそれほど大きな影響はない」と自信を見せる。今年度の一般会計の歳入に占める原発関連の収入は約1割で、約6割にも達する県内の他の立地自治体より依存度は低いからだ。

 原電が敦賀1号機の廃炉を15年に決定した際、敦賀市は、固定資産税や法人住民税、電源三法交付金が減ると試算した。だが、実際は激変緩和を名目とした国の交付金が新設され、自治体の貯金にあたる財政調整基金を取り崩さずに済んだ。

 加えて自信の背景にあるのが、「脱原発依存」の一環として、財源の多様化を目指した「ふるさと納税」の成果だ。

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