試合後のあいさつで、松商学園の選手と言葉を交わすあべの翔学の森岡和獅(中央横顔)=明石トーカロ

 (25日、第70回全国高校軟式野球選手権1回戦 あべの翔学2―0松商学園)

 「もうひとつの甲子園」と呼ばれる軟式野球の全国高校選手権で、温かいプレーの応酬があった。

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 明石トーカロ球場での、あべの翔学(大阪)と松商学園(北信越・長野)との1回戦。七回1死、松商学園の中堅手・横内陽葵(ひなた)が頭上を越えそうな飛球をつかむと、ふらりと芝生の上にへたりこんだ。

 それを見たあべの翔学の背番号17、森岡和獅(かずし)は、すぐに三塁側ベンチを飛び出した。経口補水液を片手に、猛ダッシュ。足がつっていた横内に飲ませた。

 「同じ軟式の仲間だから。相手選手がいて僕らも試合ができる」

 その間、あべの翔学が陣取った三塁側スタンドは「がんばれ がんばれ 横内」とエールを送った。

 横内は「いいチーム、ありがたかった。もっとがんばらないと、と思えた」。プレーを再開してすぐ、再びの好守で応えた。

 ベンチに戻る森岡には、松商学園がいた一塁側から大きな拍手が送られた。照れくさそうに笑顔を浮かべていると、チームメートが「ナイスダッシュ」とたたえてくれた。

 本職は右投げの投手。「ここで投げられる実力はないから、みんなができるだけいい状態でプレーできるようにサポートしたい」。スコアシートには残らない、価値ある救援だった。

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