「名古屋の台所」とよばれる柳橋中央市場=2024年11月8日午後2時29分、名古屋市中村区、松島研人撮影

 「名古屋の台所」として知られる柳橋中央市場(名古屋市中村区)の近くに設ける「柳橋駅」構想について、市は新設に向けた調査を打ち切ることを決めた。建設資材や人件費の高騰などが響き、事業化しても費用対効果が低いと判断した。

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 柳橋駅は市営地下鉄東山線の名古屋―伏見の中間地点に位置し、長年、設置が構想されてきた。東山線開業前の1940年代に建設が検討されたが、需要不足として見送られた。60年代には地元住民らが市に2度請願したが、財政状況などから実現には至らなかった。

 流れが変わったのが2017年。リニア中央新幹線の開業に向けた街づくりの一環として、河村たかし前市長が同年の市長選公約に柳橋駅の開業を盛り込んだ。市は18年度から新設に向けた本格的な調査を始めた。しかし、当初150億円と試算された事業費は資材や人件費の高騰などで23年度時点で、200億円弱まで膨らんでいた。

 新駅設置により新たに生まれる需要と維持管理費が見合わないことも分かり、採算が取れないという。市は大手不動産開発会社が建設費の一部を負担した東京メトロの虎ノ門ヒルズ駅を参考に、民間資金の活用も模索したが、手を上げる事業者はいなかった。

 市は新駅構想の調査を24年度末でいったん打ち切る。代替案として、25年度末に導入する予定の名古屋駅地区と栄地区を結ぶ、連節バスを活用した新たな公共交通システム「SRT」の停留所を柳橋に設置することを検討するという。

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