「石の上にも三年」は今⑤
若い人の数が減り、人手不足が続く中、企業がいかに若手の離職を防ぐかが話題になっている。新入社員が求める職場環境とは。期待する上司の像とは。リクルートマネジメントソリューションズ(RMS)が毎年実施する新入社員の意識調査から考える、「石の上にも三年」は今――。
RMSは3~4月、様々な企業で進めた新入社員研修の受講者741人に、2010年から続ける意識調査を実施。回答者の平均年齢は21.7歳、大卒以上は84.5%で、企業規模は300人未満が66.5%だ。
「働きたい職場の特徴」(複数回答可)を尋ねると、最も多かったのは「お互いに助け合う」(64.1%)で、10年前(14年)との比較で11.4ポイント増えたという。次に多かったのは「遠慮をせずに意見を言いあえる」(45.1%)で、こちらは10年前より9.8ポイント増えて調査開始以来最も高い数値に。「お互いに個性を尊重する」(44.3%)が続き、こちらは10年前より12.7ポイント高かった。
一方、最も少なかったのは「ルール・決め事が明確」(12.7%)で、「お互いに鍛えあう」(15.9%)、「皆が一つの目標を共有している」(25.9%)が続いた。特に「皆が一つの目標を共有している」は、10年前より10.5ポイント下がっている。
「上司に期待すること」(複数回答可)については、最多は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(50.3%)で、10年前より1.5ポイント増。続いて、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(45.9%)で同13.0ポイント増、次に「よいこと・よい仕事をほめること」(33.9%)は同15.0ポイント増だった。
「上司に期待すること」として、回答があまり集まらなかった項目を並べると、こうなる。
「部下に仕事を任せること」(5.0%)。
「ルール・マナーを守り、清廉潔白であること」(10.0%)。
「仕事がバリバリできること」(10.5%)。
「周囲を引っ張るリーダーシップ」(17.7%)。
さらに、10年前からの減り幅が際だったのは次の二つだ。
「言うべきことは言い、厳しく指導すること」(21.9%)→11.8ポイント減。
「仕事に情熱を持って取り組むこと」(23.6%)→8.3ポイント減。
求めるのはオープンでポジティブな関わり
調査を担当した研究員の関根彩夏さん(31)はこう解説する。
「この世代は学生時代から、一人ひとりの個性を尊重する時流を背景に、誰もが自分の意見を発信できて当たり前という環境を経験している。そうした環境を社会に出てからも求めたいと思っているのだと思います。互いに助け合いながら言いたいこともしっかりと言える心理的安全性が担保された環境を求めているのでしょう。上司についても、頭ごなしに厳しく指導するのではなく、オープンでポジティブなかかわりを求めるようになっているのだと思います」
ともに調査を担当した、1992年入社の〝上司世代〟である主任研究員の桑原正義さん(54)は、時代の流れをこう見る。
「私たちの時代は、上位を目…