袴田巌さん支援団体の事務局長を務めた山崎俊樹さん(70)

 再審無罪が確定した袴田巌さん(88)の支援団体を21年前に立ち上げ、事務局長としてかじ取りを担ってきた。なかでも、弁護団とともに手弁当で行った「衣類のみそ漬け実験」は、2008年の第2次再審請求や再審公判での無罪立証で重要な役割を果たした。

 佐賀県で生まれた。自然科学に興味を持ち、高校生のころ「海底火山の研究がしたい」と東海大学海洋学部に進学。静岡へ移り住んだ。

 冤罪(えんざい)事件に関心をもったのは、大学時代に同じアパートの知人から借りた狭山事件が題材の漫画がきっかけだった。1963年に女子高校生が殺害され、現在も再審請求が続けられている事件だ。「最初に読んだときは『警察がこんなことするわけないじゃん』と思った」。仲間の誘いで埼玉県狭山市に行き、事件について詳しく知り、次第に考えが変わった。無罪を訴える人を支える活動の原点は、「人間として許せない」という怒りだ。

 54年に起きた島田事件の支援にも関わるようになり、袴田事件を知った。初めて袴田さんの支援集会へ出席したのは81年11月。89年に島田事件が再審無罪となると、本格的に袴田さんの支援活動に携わるようになる。

新たな支援団体立ち上げ 「みそ漬け実験」に着手

 昼間は船舶の入港手続きなど…

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