大火災で傷ついた町が、ようやく動き始めようとしている。岩手県大船渡市三陸町の綾里地区にある酒店兼新聞販売所「千葉梅商店」は12日未明、約2週間ぶりに新聞配達を再開した。経営する千葉エツ子さん(77)は「ここは高齢者が多く住む地域。今こそ新聞の情報が必要だと思って」。焼け跡が広がる未明の港町に、配達員のバイク音が響き渡る。
午前3時半、こたつの置かれた民家の10畳間で、千葉さんは正座をして新聞の仕分けを始めた。19歳で結婚してから約50年、この「こたつ部屋」で毎朝、新聞配達の準備をしてきた。
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「昔は午前8時の路線バスで新聞が届いた。地域住民の多くが漁師だったから午前中に配ればよかった」。今は大船渡市内に通う会社員が増え、午前2時に市中心部に新聞を取りに行き、朝の出勤前に配るようにしている。
新聞販売所は多数の民家や店…