自動車部品をつくる際に使う金型を取引先に無償で保管させたとする下請法違反の事例が、再び大手部品メーカー2社で発覚した。中小企業の負担増になってきた、金型保管を巡る商慣習は改められるのか。
「いずれも自動車メーカーと直接取引する有力な事業者。自動車業界のサプライチェーン(供給網)に与える影響が大きい事案だ」。2社への勧告後、名古屋市で会見した公正取引委員会中部事務所の幹部は強調した。
今回違反が判明したのは、日産自動車の完全子会社「愛知機械工業」と、トヨタ自動車の関連会社「中央発条」。愛知機械は日産副社長が会長を務める。日産は自社も昨年3月に、別の下請法違反で勧告を受けた。「重く受け止めている。法令順守を引き続き徹底していく」とのコメントを出した。
取引先は「発注しないと言われないか不安」も
公取委によると、長いもので愛知機械は約20年、中央発条は約10年間、金型を取引先に保管させていた。取引先は工場内のほか、倉庫を借りたり、自社の土地に専用施設をつくったりして保管していた。
中央発条は昨年8月に公取委の調査を受けた。金型の保管費用は「部品単価に含まれていると認識をしていた」という。広報担当者は「下請法の認識も、お客さまとのコミュニケーションも不十分だった。上下関係があり、遠慮や商慣習に流された部分もあった。改善していきたい」と話した。愛知機械は「コンプライアンス(法令や社会規範の順守)の一層の強化と再発防止に努める」とのコメントを出した。
金型の無償保管は2004年…