「喜び組でも呼んどけ」。フジテレビの第三者委員会が実施したアンケートの中で出てきた言葉です。社会学者の加藤秀一さんは、女性社員を「喜び組」扱いする風潮は、日本の組織に今も根強いと指摘します。それはなぜか。どんな社会の構造が背景にあるのか。話を聞きました。
「同僚」ではなく「女」
女性社員を「喜び組」扱いする風潮は日本の組織にはありがちで、フジだけの問題ではありません。背景にはジェンダーと絡みついた権力関係が存在します。
女性社員を「喜び組」と扱うのは、自分たちと同じカテゴリーに属する「同僚」ではなく、端的には「女」と見ているからでしょう。本来、職場にあるべきではない性的な対象として女性を見ています。さらに男性同士のつながりが加わり、集団として女性を性的に扱うと、「ホモソーシャリティー」が生まれる。フジはその典型的なケースのように感じました。1980年代に「セクハラ」の概念が広がったことでおかしさに気付かれるようになってきたものの、いまだに残っているのでしょう。
「喜び組でも呼んどけ」と女性社員を見下しつつも、呼び求める。矛盾していると見えるかもしれませんが、「何を呼び求めているのか」を腑(ふ)分けして考えれば分かります。呼び求めるとは「欲望の対象にする」ということです。欲望には、性的な欲望もあれば、見下したいという欲望もある。一つの対象に対し異なる欲望は両立します。
女性たちも「喜んでいる」?
「性的な欲望」は、単に「性…