元日本銀行審議委員の白井さゆり氏

 日本銀行が10年前の2014年1~6月の金融政策決定会合の全議事録を公表した。当時の黒田東彦(はるひこ)総裁の下で大規模な金融緩和を進めるなか、消費増税の影響が主要テーマとして話し合われた。当時、日銀審議委員だった白井さゆり慶応大教授は、増税前の駆け込み需要を除けば依然として消費が弱いにもかかわらず、物価目標の達成に自信を見せる執行部に違和感を覚えた、と振り返る。現在の日銀に対しても追加の利上げは難しいと指摘する。

 ――14年4月に政府は消費税率を5%から8%に引き上げました。どのような影響を見込んでいましたか。

 「13年の大規模緩和以降、景気は回復基調をたどっていき、14年1月からは増税前の駆け込み需要の強さから消費が旺盛に見えました。ただ、それを除くと消費は弱く、増税後の反動も気がかりでした。経済成長や物価についても、下ぶれするリスクを主張してきました」

データを見る限り、2年で目標達成は言い切れない

 ――4月の決定会合で、執行部が示した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)に、白井さんら3人の審議委員が反対しました。

 「執行部は、消費増税の反動…

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