(30日、第97回選抜高校野球大会決勝 横浜11―4智弁和歌山)
「野球の神様はいる」。4番の福元聖矢選手(3年)は、そんなことを考えながらゆっくりと歩いて左打席に入った。九回表、2死満塁の好機だ。
バットの芯で打球をとらえたが、二塁手のグラブにおさまり、試合は終了した。駆けだしていた足を止め、天を仰いだ。
昨夏の全国選手権大会に出場したが、無安打だった。悔しさを晴らす舞台は整っていた。
選抜大会は、準決勝までの4試合で7安打を放つ活躍を見せた。決勝でも、二回に右前安打、八回にも1死二、三塁の好機で右翼フェンス直撃の2点適時三塁打を放った。
ただ、笑顔はない。
八回は、あと一伸びで本塁打だった。九回は、とらえた打球が野手の正面を突いた。
福元選手は「神様は試練を与えてくれていると思う。まだまだだぞ、と教えてくれている。どんどん練習していきたい」と話す。
「この銀色のメダルを、最後の夏に金色に変えられるように全力でやっていきたい」