青井・足立東・葛飾総合・東京農産・南葛飾のエース、坂本=2025年7月15日午後0時11分、都営駒沢、武田遼撮影

(15日、第107回全国高校野球選手権東東京大会3回戦、朋優学院12―2青井・足立東・葛飾総合・東京農産・南葛飾)

 連合チームとして戦ってきた高校野球の3年間が終わった。

 青井・足立東・葛飾総合・東京農産・南葛飾を投打で引っ張ったのはエースの坂本優璃(ゆうり)(3年、足立東)。試合は六回コールド負けとなったが、投打で気迫を見せた。

 「最初、点を取られると思った」。一回裏、不安な気持ちのまま、マウンドへ上がった。だが、先頭打者を見逃し三振。後続の打者も内野ゴロに打ち取り、無失点に抑えた。

 硬さが取れ、打撃でも躍動した。1点を追う四回表。内角高めの直球を左前に打ち返し、適時打に。ゲームを振り出しに戻した。ただ、五回、守備の乱れなどで3失点し、88球で降板。次の回に大量失点し、敗れた。

 高校野球イコール連合チームだった。先輩が引退した昨夏の東京大会から今春まで、部員は自分だけに。「辞めたい」と思ったが、似たような環境の連合チームの選手らを思い出して、気持ちを保った。

 今夏の目標を「一勝」にした。平日は小松崎豊監督やコーチらとの練習。壁に球を投げて捕球したり、打ったりした。

 一人で秘めていた思いと、重ねてきた練習が今大会、形になった。

 12日に神宮であった千早との初戦。先発し、150球を投げて8奪三振。7-6で完投勝利をつかんだ。

 2018年の監督就任以来、東京大会で勝ったことがなかった野球部の小松崎監督にとっても、大きな1勝だった。試合後のミーティング。「これ以上話すと泣きそうなので今日は短めに。ありがとう、よくやった」。うれしかった。

 最後の夏が終わり、今度は、小さいころから憧れていたドルフィントレーナーになるため、専門学校への進学を目指す。「最後までやり切ると、ちょっとは成果が出て夢はかなうんだなって思った」。その表情は充実感に満ちていた。=神宮

共有
Exit mobile version