国立がん研究センター=東京都中央区

 大腸がんの検診ガイドラインが19年ぶりに改定され、国立がん研究センターが2024年11月に公開した。これまでの知見をもとに、二つの検査法を評価。便に血が混じっていないか調べる「便潜血検査免疫法(便検査)」を「推奨」とした一方、内視鏡で大腸の内壁を見る「全大腸内視鏡検査」は、自治体の検診としては「実施しないことを推奨」とした。

 大腸がんは、毎年15万~16万人が新たに診断される。死亡者数(約5万3千人、22年)は肺がんに次いで2番目に多い。

 05年に出た前回のガイドラインは、根拠となる研究が少なかった。また近年、正確に検査できるため精密検査に使われる内視鏡を、検診として使う例が増加。これらを踏まえ、二つの検査の検診としての有効性を改めて評価した。

 その結果、便検査は、大腸がんがある人を正しく陽性と判定する確率である「感度」が84%、大腸がんがない人を正しく陰性と判定する確率の「特異度」が92%だった。これは、1回の検査で、実は大腸がんがあるのに陰性となる(偽陰性)確率が16%、問題のない人なのに陽性となる(偽陽性)確率が8%となることを意味する。便検査を検診に使うことで、大腸がん死亡率を下げるという科学的根拠もあり、推奨年齢は40~74歳(45歳や50歳開始も可)で、1~2年ごとに検診を受けるのでもよいなどとした。

 内視鏡検査も、大腸がん死亡…

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