「天空の駅」を走行するトロッコ列車=2025年3月15日午前10時55分、島根県邑南町宇都井、高田純一撮影

 7年前に廃線となったJR三江線の旧宇都井駅(島根県邑南町)。3月15日、ホームに止まっていた3両連結の観光用トロッコ列車に運転士のアナウンスが流れた。「乗客全員で〝出発進行〟と言うのが慣例です」。家族連れら乗客が「出発進行」と応じると、列車が動き始めた。

 広島、岡山両県を結ぶ赤字ローカル線、JR芸備線の一部区間について、将来のあり方を探る議論が続いています。仮に廃線となった場合、地域はどうなるのか。廃線となったJR三江線(広島・三次―島根・江津)の地元の現状をリポートします。

 箱形の車両は側面に窓があり、天井は透明のアクリル板。車内は明るく、開けた窓から里山の空気が流れ込む。時速は5~15キロほど。江の川に架かる鉄橋を渡り、広島県に入ったところで停車。バックで折り返した。

 父親と乗った本田航一さん(6)=広島県東広島市=は4月から小学生。将来の夢は電車の運転士という。「江の川の景色がすごかった。トンネルの影絵もよかった」

 この日、邑南町内に残る宇都井、口羽、作木口の旧三江線3駅を発着するトロッコ列車の今年の運行が始まった。

「廃線後も地域は残る」とサポート

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