1970年大阪万博を象徴する太陽の塔(大阪府吹田市)が、国の重要文化財に指定される見通しになった。文化審議会は16日、琵琶湖の水を京都へ運ぶ運河の琵琶湖疏水(そすい)施設(大津、京都両市の5棟)を国宝に、太陽の塔など8件の建造物を重要文化財に指定するよう、文部科学相に答申した。
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太陽の塔は高さ約70メートルで、万博のテーマ館として造られた。芸術家、岡本太郎による左右に腕を広げてそびえる特異なデザインが、当時の最先端技術で具現化された。
万博後に解体予定だったが、存続を求める声を受け、75年に保存が決定した。2018年からは内部が公開されている。高度経済成長期の日本を象徴する大阪万博の記念碑的レガシーになっている。
明治期に築かれた琵琶湖疏水は、舟運や発電、水道などの機能を担い、東京遷都後に衰退した京都の近代化を支えた。トンネルや発電所など24棟が重要文化財に指定され、このうち南禅寺境内を横切る煉瓦(れんが)造の14連アーチ橋「南禅寺水路閣」、舟を台車に乗せて高低差のある水路をつないだ傾斜鉄道跡「インクライン」、当時国内で最長だった第一隧道(ずいどう、2436メートル)などの初期の大型建造物5棟が、近代の土木施設として初の国宝になる見通し。「明治日本における都市基盤施設の金字塔」と評価された。
ほかの重文の新規指定は次の通り。
スカイハウス(旧菊竹清訓〈きよのり〉自邸、東京都文京区)▽旧京藤(きょうとう)家住宅(福井県南越前町)▽建中寺本堂(名古屋市東区)▽建中寺徳川家御霊屋(ごれいや、同)▽旧今井貯木場施設(愛知県豊田市)▽旧下村家住宅洋館(京都市上京区)