「撮影５分前」テレビ朝日プロデューサー・峰島あゆみ
ドラマ「誘拐の日」（火曜夜9時）で、七瀬凛（永尾柚乃（ゆの）＝写真）は多国語を操る驚異的な知能の天才少女だ。韓国原作のこのドラマのリメイクを決めたのは、永尾さんというリアル天才少女が日本にいたからだ。撮影前に深川栄洋監督は凛を演じるにあたり「子役芝居は封印して」と要求した。8歳の少女には厳しいお題だが、懸念は全くの杞憂（きゆう）だった。
たとえば第2話で、身を隠した倉庫内で、自分を守るように新庄政宗（斎藤工）に言うシーンがある。普通なら相手の目を見るところを永尾さんはあえて目線を外しながら話しかける。細かい工夫だが、こういう大人のような演技ができてしまう。永尾さんの辞書には「失敗」という言葉がないという。成功するまで挑戦するのだそうだ。相当ストイックに練習をされているのだろう。
舞台裏ではいつも明るい。共演する内田有紀さんは「柚乃ちゃんは将来何になるの」などと質問攻めにするほどぞっこん。永尾さんは撮影の合間にお弁当を選ぶときなども、「何にしますか」とたくさんのスタッフに話しかける。そんなささいな会話が現場を盛り上げる。私たち大人もどう振る舞うべきか、襟を正される思いだ。
