東京大や京都大など旧帝大と東京科学大の工学系学部などで構成する一般社団法人「八大学工学系連合会」が28日、東京大で記者会見を開いた。社会課題が複雑化する中で、工学の知識や多様な視点が求められているとして、女性の理工系人材の育成推進を声明で発表した。
経団連が昨年2月に発表したアンケートによると、工学系や数理・データサイエンス、AIなどを中心とした知識のある女性理工系人材について「今後採用を拡大する方向」と答える企業は60%以上にのぼった。一方で同連合会によると、八大学における工学系学部の女子学生の比率は13%にとどまる。
声明では、入試での女子枠の導入や、工学の楽しさを発信するようなイベント開催などによって、女子の理工系学部への入学者数は徐々に増えているものの、女子比率は低い状況だと指摘。「女性の理系進路に関する偏った見方、先入観」をなくす必要性を挙げ、小中高校生や教員、保護者の興味をひく取り組みを進めるとしている。
また、工学系修士の博士進学率は八大学で13%にとどまることにも言及。社会課題の解決に貢献する高度専門人材が求められているとし、博士人材の増強に努めるとした。
連合会では3月に「つながる工学ウェブ」と題したサイトを開設。女子学生の比率向上や博士の学生を応援するための各大学のイベントを見ることができるという。
連合会の会長で、北海道大大学院の幅崎浩樹・工学研究院長は会見で「女子学生が両親から工学系の進学を反対されるケースがあり、バイアスの問題もあると思う。社会の情勢をふまえ、産業界とも連係しながら、工学系への魅力を幅広く伝えていきたい」と話した。