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参院本会議で新年度予算案が可決された=2025年3月31日

 参議院議員の女性割合が、衆院と比べて高いのはなぜか――。政治学者の研究チームが、衆・参の制度の違いに着目して分析したところ、ジェンダーバイアスが投票行動を左右する側面があることが明らかになった。「女性は、権限の小さい参院議員の方が衆院議員よりもふさわしい」。そんな偏見が、有権者の間に潜んでいる実態が浮かんだという。

 尾野嘉邦・早稲田大教授と粕谷祐子・慶応大教授、三輪洋文・学習院大教授の研究チームが今年3月、米政治学誌で発表した。

70年間、一貫した傾向

 女性議員割合は4月末現在、衆院15.6%に対し、参院は25.4%。参院が約10ポイント高い。この傾向は1950年代以降一貫している。

 衆院議員は任期4年で、任期途中でも解散があるのに対し、参院議員は任期6年で解散がない。また、衆院には憲法上、予算案可決や首相指名などについて参院よりも強い権限を付与した「衆院の優越」がある。研究チームは、こうした衆・参の違いが有権者と立候補検討者の行動に影響するのではないか、との仮説を立てた。

【衆院の優越】

 衆議院と参議院で異なった議決が行われるなどした場合、衆議院に強い権限が認められている

 ・法律案の再議決

 ・予算の議決

 ・条約締結の承認

 ・内閣総理大臣の指名

 ・予算先議権(衆議院にのみ認められている権限)

 ・内閣不信任決議(同上)

 調査は2回、大手オンラインアンケートサイトを通じて男女延べ6365人の回答を得た。

 2020年7月の初回調査(2267人回答)では、架空の候補者について、衆院議員と参院議員にどのくらい向いていると思うか、8段階で評価してもらった。その際、「衆院の優越」について説明した場合と、説明しなかった場合で、判断に違いがあるかを比べた。

男性回答者のジェンダーバイアスは…

 「説明した場合」では、男性…

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