菌床を持つ伊藤委代子さん=2024年6月17日、田辺市龍神村甲斐ノ川
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 森林が広がる和歌山県田辺市龍神村。廃校となった中学校の敷地にハウスが並ぶ。中に入ると、空調が利いてひんやりし、湿気を感じる。おが粉などをブロック状にした菌床が棚にずらりと並び、そこから、にょきにょきとシイタケが生えている。大きいものは、かさの直径が10センチほどあり、肉厚だ。

 「同じ条件で育てても菌床一つ一つで生え方が違うんですよ」。そう話すのは、「龍神マッシュ」代表の伊藤委代子さん(76)だ。

 全くの素人だった伊藤さんが、シイタケ栽培を始めたのは、2008年のこと。地元で建設会社を営む弟からの一言がきっかけだった。「姉さん社長やってみんか」。何をするのかも確認しなかったが、興味を引かれた伊藤さんは「やりたい!」と二つ返事で引き受けた。

 伊藤さんの弟らは、村を活性…

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