元森絵里子さん

 選択的夫婦別姓制度に反対する人々によってしばしば語られる「子どもがかわいそうだから」という言い方。日本と世界で「子ども観」がどう変遷してきたかを研究している社会学者の元森絵里子さんは、そうした言説の前提には二つの「古い想定」がひそんでいると語ります。どういうことでしょう。

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「みんなと一緒でないといじめられ」の昭和感

 世の中の「子ども観」がどう移り変わってきたのかを研究してきました。「夫婦別姓にすると子どもがかわいそうだ」という議論を聞いて感じるのは、その裏にある想定の古さです。

 まず、「みんな」と違うと子どもがいじめられるという発想が、1970~80年代の日本社会に色濃く見られたもの、つまり昭和の終わり頃のものです。

 子ども期には「みんなが一緒」の学校に通い、その後は性別役割分業を理想とする家庭と社会に出ていく。そんな人生コースが日本社会で一般化したのが70~80年代でした。それは「いじめ」が社会問題化した時期とも重なります。

 加えて、子どもがかわいそう…

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