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通学支援タクシーの運行初日。第1便には中学生3人が乗り込んだ=2024年4月15日、和歌山県九度山町河根、大野博撮影
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 和歌山県九度山町立河根(かね)小学校・中学校で4月から「通学支援タクシー」の運行が始まった。過疎化が進む山あいにある両校では徒歩圏内に住む児童生徒はおらず、全員が保護者などの送迎で通学している。送迎の都合がつかない日に学校を休まざるを得ないケースを解消するのが狙いだ。

 きっかけは2022年8月、小中学生が「議員」を務めた町の「子ども議会」での問題提起だった。

 「保護者の都合がつきにくい児童生徒は通うことができないのが現状です。通学の手段について、どうお考えか、お伺いしたいです」

 当時、河根中3年の下村柚実さんは、こう切り出した。

 父の送迎で橋本市高野口町から通学していた下村さん。「学校を残してほしいと願ってくださっている地域の方々や、特色ある教育を受けたいと望む児童生徒によって存続している学校です」と訴え、「スクールバスや町の公用車を出していただくのはどうでしょうか」と提案。岡本章町長から「前向きに検討したい」との答弁を引き出していた。

 高野山への参詣道「京大坂道」が通り、明治時代ごろまで宿場町として栄えた河根地区は、鉄道や別の道路の整備でメインルートから外れ、過疎化が進む。17年には河根小の在校生が1人に、河根中で0人になった。存続が危ぶまれる中で、地域の人たちの同意のもと、20年から不登校を経験するなどした子どもを周辺市町から積極的に受け入れるようになった経緯がある。

 現在、河根中では13人中11人、河根小では7人中5人が町外から通学。町教育委員会の担当者は「河根小・中学校を選んで不登校を克服しようと頑張っている子もいる。そういう学校であるだけに、行きたくても欠席せざるを得ない子がいるという問題提起を重く受け止めた」と話す。

 町教委は保護者の意見を募り、送迎方法などを検討。下校時に児童生徒が無償で利用できる通学支援タクシーの制度を設けた。保護者から利用登録を募り、15日から運行を始めた。

 利用登録をした中学生は5人で、小学生はまだいない。15日は午後3時に河根中の玄関前を出発した第1便に生徒3人が乗り込んだ。この日は授業時数が少なく、部活動も休みだったためで、通常は第1便が午後4時発、第2便は午後5時10分発で運行することにしている。(大野博)

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