旧優生保護法(1948~96年)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚障害のある名古屋市の尾上敬子さん(74)と夫の一孝さん(77)が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審が、15日午後1時10分から名古屋高裁である。弁護団によると、同種の訴訟ではこの裁判が全国最後という。
聴覚障害のある名古屋市北区の柴田邦子さん(84)は尾上夫妻が実名を公表して世間に訴えた姿を見て、半世紀以上、胸にしまっていた過去を明かした。
「私は、子どもを殺された」
柴田さんの手話は息が切れるほどに激しくなった。
柴田さんは同じ聴覚障害がある夫と結婚し、27歳で妊娠した。すると義理の母と義理の妹に「絶対に産んではいけない」と中絶を促された。
妊娠5カ月で奪われた小さな命
夫が通っていたろう学校が義…