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会見した原告の女性。身の安全が守られないなどとして、2023年3月に退学した=25年5月9日午前11時20分ごろ、東京・霞が関、黒田早織撮影

 山梨学院大学(甲府市)の寮で男子学生から性暴力を受けたのに、大学が適切な対応をしなかったとして、留学生だった女性が大学と男子学生に約4100万円の損害賠償を求める訴訟を9日、東京地裁に起こした。女性は「大学は学生の性的安全を守る義務を真剣にとらえず、体面維持を優先させた」と訴えている。

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 原告の女性はアメリカ国籍の20代。訴状によると、女性は2023年2月、ナイジェリア国籍の20代の男性留学生(すでに卒業)から、キャンパス内の学生寮にある男性の自室で、下半身を触られるなどの被害を受けたという。数日後に男性から対面やメッセージで謝罪されたという。

 女性は学内カウンセラーや複数の教授に被害を相談したが、カウンセラーからは「大学ではとても対応できない、被害を忘れるように」と言われたと主張。大学側が行った男性への聞き取り調査なども不十分で、身の安全が守られず退学を余儀なくされたとして慰謝料などの支払いを求めている。

 女性は、国内の別の大学に編入した今も、PTSDの症状で通院を続けているという。大学側は「訴状が届いていないため、現時点ではコメントを控える」と回答した。

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