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 トランプ米政権から助成金や契約の停止、留学生受け入れ禁止措置といった激しい圧力にさらされているハーバード大学で29日、卒業式が行われた。アラン・ガーバー学長や登壇した卒業生は、国際性や多様性、自由の意義を改めて強調。一方、取材に言葉を濁す卒業生も多く、政権の姿勢が学生に与える不安の大きさもうかがわせた。

 「米国、そして世界中から来た皆さん、ようこそ。本来の姿であるべき『世界中から』です」。ガーバー学長が演説で「世界中から」とあえて繰り返すと、会場から大歓声があがった。政権からの脅威について直接の言及は避けたが、「留学生のいないハーバードはハーバードではない」というかねての大学の主張に沿った演説だった。

 米国民の間に、ハーバード大を筆頭とするエリート教育機関への反感が強いのも事実だ。ガーバー学長は「絶対的な過信は頑迷な無知と表裏一体だ」と述べて卒業生を戒め、正しさを過信して安住するのではなく「安住できない状態に安住できるようになれ」と鼓舞した。

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米マサチューセッツ州ケンブリッジで2025年5月29日、ハーバード大の卒業式で、学生らからの拍手に応えたアラン・ガーバー学長=ロイター

 卒業生を代表して演説したトール・ライマンさんは「ハーバードは米国の高等教育を巡る国家的闘争の中心になってしまった」と懸念を示し、続けた。「我々の大学ももちろん完全ではない。それでも、卒業生や教授、学長と確信を共有できているのを誇りに思う。真理追求という守るべき価値があるという確信だ」

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 キャンパス周辺は、黒いガウンをまとった晴れやかな表情の卒業生らでにぎわった。ただ、政権と大学との対立について尋ねると「センシティブな問題だから」などと語り、口をつぐむ人も多かった。

 取材に応じてくれたジョッシ…

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