先の衆院選で、政権復帰から12年になる自公両党に厳しい審判が示され、日本政治は変動の時を迎えている。新著「宿命の子」(文芸春秋)で第2次安倍晋三政権(2012~20年)での政策決定や政局の舞台裏を検証した元朝日新聞主筆でジャーナリストの船橋洋一氏(79)に、「安倍政治」が残したものや今後の政治のあるべき姿などを聞いた。

船橋洋一氏=東京都港区赤坂、菊池康全撮影

 ――出版の動機は。

 安倍氏は第1次政権(06~07年)の頃から、連合国がA級戦犯を裁いた東京裁判に違和感を示しており、第2次政権でも当初はそれを引きずっていた。私は安倍氏の歴史認識を危ういと感じていました。15年に発表された戦後70年の安倍首相談話に変化を感じたが、国内では親安倍と反安倍に割れ、冷静な議論ができない状況が続いた。安倍政権の政策、戦略、統治を検証しようと考えました。本人へのインタビューは退陣翌月の20年10月から銃撃される前月の22年6月まで計19回行い、日米などの関係者約300人にも取材しました。

談話の裏にある安倍氏の戦略的歴史観

 ――談話では安倍氏自身の歴…

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