先の通常国会で選択的夫婦別姓の導入をめぐる議論は各党の溝が埋まらず採決は見送られた。賛否が割れていた自民党は、参院選への影響を懸念し、党としての意見集約すら見送った。この間、いわゆる保守系団体が党に対し、制度導入の阻止に向けた働きかけを続けていた。

別姓制度の問題点を学ぶ勉強会=2025年5月11日午後2時46分、岡山市内、笹山大志撮影

全国で展開された反対運動 地方議員署名は1233人

 「選択的夫婦別姓は家族が崩壊し、日本が滅亡する恐ろしい法案だ。我々は決して許してはならない」「知り合いに伝えて、参院選で真っ当な国会議員に一票を入れることが夫婦別姓を防ぐ一歩だ」

 通常国会の会期が残り1カ月余りとなった5月11日、岡山市で開かれた別姓制度の問題点を学ぶ勉強会で主催者は制度導入に反対するように呼びかけた。主催したのは民間シンクタンク「日本政策研究センター」の支部である「平成ビジョンの会」。同センターの代表である伊藤哲夫氏は故・安倍晋三元首相と近かったことで知られ、保守系の運動団体である日本会議の常任理事を務める。ゲストには、制度導入に反対し安倍氏側近だった自民の衛藤晟一参院議員が招かれ、地元県議や市議ら約50人が参加した。

 同センターの担当者によると、全国で地方議員や団体などを対象にこうした勉強会を実施。街頭活動などで配布したリーフレットは約6万枚にのぼり、反対運動を展開したという。

 こうした動きは自民所属の地方議員にも広がった。中心となったのは日本会議に所属する都道府県議らでつくる「日本会議地方議員連盟」だ。

自民党の森山裕幹事長(中央)に旧姓使用の法制化を求める要望書を出した日本会議地方議員連盟の幹部や自民議員ら=6月6日午後、自民党本部、笹山大志撮影

別姓の導入阻止に動いた日本会議

 「これだけの自民議員が夫婦…

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