介護の現場では、ケアマネジャーが「家族代わり」の役割を頼まれることが増えている

 身寄りがなかったり、家族がいても頼れなかったりする高齢者が増えるなか、ケアマネジャー(介護支援専門員)に「家族代わり」の役割が求められる場面が増えている。預貯金の引き出しや税金の手続きなど、本来の介護保険制度とは異なる支援をしたことがあるケアマネが、8割を超えていることがわかった。

 ケアマネは、介護保険サービスの利用計画の作成を担う。一般社団法人「日本介護支援専門員協会」が2022年春、全国の居宅介護支援事業所に所属するケアマネ2千人に聞き、1477人(回答率74%)から回答があった。

 2021年の1年間に、介護保険制度以外の手続きを支援したことがある人の割合は8割を超え、そのうち年金や税金などの行政上の手続きをしたのが68・4%、お金の入金や引き出しなどの金融機関の手続きをしたのは12・8%だった(複数回答)。

 同じ期間で、入退院時の手続きを支援したことがある人は全体の約6割で、理由は「独居や高齢世帯などにより家族機能が十分でないため」が最も多い68・4%。

 また、2021年11月の1カ月で入退院時の生活用品などの調達をした、と答えた人は全体の3割にのぼった。

 2021年の1年間で、けがなどで利用者に予定外の「緊急訪問」を実施した割合は9割を超えた。緊急訪問をした理由は「近隣に頼れる家族や友人がいないため」が最も多く63・4%だった。

 介護保険の手続き以外にも業務範囲が広がっていることを受けて、別料金を徴収すべきかどうかを聞くと、入退院時の生活用品などの調達(67・4%)、入退院時の手続き支援(57・3%)、介護保険制度以外の手続き支援(53・3%)の順に「別料金を徴収すべき」が多かった。

 日本介護支援専門員協会常任理事の山田剛さんは「単身の高齢者も増えるなか、『身内に頼れない』として、ケアマネの業務負担が増している。現場では退職の一因にもなっており、危機感がある」と話す。

 山田さんは、「ケアマネの業務範囲を整理する、報酬を引き上げるなど、何らかの対応が必要だ」と訴えた。

「ケアマネなら…」近所トラブルの対応も

 新潟県内のケアマネの女性も、「本来の業務でなくても、『ケアマネならやってくれるはず』と思う人が多い」と明かす。

 具体的に、どのようなことを頼まれるのか。

 夫は先立ち、子どもはいない…

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