練習に励む子ども神楽部のメンバーたち=2024年6月9日午後3時14分、島根県奥出雲町大谷、堀田浩一撮影
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 島根県奥出雲町の小森地区に伝わる「小森神楽」の魅力を伝えようと、同町の「子ども神楽部」のメンバーが練習に励んでいる。7月には地元で、JR西日本の観光列車「あめつち」の乗客たちを壮大な舞で出迎える予定だ。

 6月9日の日曜、同町大谷にある練習場に集まったのは小学生7人と高校生2人。女子は白装束をまとい、男子は面をつけたり、大蛇(おろち)に扮したりして、それぞれの演目の順番を待った。

 軽快な笛と太鼓の音に合わせ、軽やかに須佐之男命(すさのおのみこと)を演じていたのは若槻俊太君(6)。大蛇に倒されたり、巻き付かれたりする場面を堂々と舞った。大蛇役の藤原樹(たつき)君(8)も「大蛇の戦いぶりを見てもらいたい」と、必死に長尺の大蛇を四方八方に動かした。

 小森神楽は、出雲神楽を基盤とし、江戸後期の1788(天明8)年に小森地区に伝わったとされる。1970年代半ばには、地元の馬木小学校の5、6年生による子ども神楽が結成され、小森地区の大人たちが伝統の舞やおはやしを教えてきた。

 しかし、その馬木小は来年閉校になる。そんななか、継承活動に取り組む「小森神楽保存会」が昨年、門戸を広げて立ち上げたのが「子ども神楽部」。現在のメンバーは、小学生7人、中学生2人、高校生4人の計13人。同町の各地から集まった。

 亀嵩小に通う若槻君は今年入った。「好きな神楽を教えてくれる所を探していた。見学して一発で気に入ったみたいでした」と母親の由希さん(30)は話す。

 子ども神楽部は7月14日、JR木次線の出雲横田駅(同町)で観光列車「あめつち」の乗客を出迎える。小森神楽保存会の飛田忠会長(78)は「子どもが演じる神楽は目を引き付けるものがある。いろいろな行事に出演し、小森神楽を広めていきたい」と話す。(堀田浩一)

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