広島高裁前で「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告団=2024年12月13日午前11時27分、広島市中区、遠藤花撮影

 広島原爆の被爆者の子である「被爆2世」が、被爆者と同様の援護措置を受けられないのは法の下の平等を定めた憲法に違反するなどとして、国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、広島高裁であった。高宮健二裁判長は「放射線の遺伝的影響は証明されておらず、援護対象にしないことは差別的な扱いにあたらない」と判断。請求を退けた一審・広島地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。原告側は上告する方針。

 判決は一審判決と同じく、放射線の遺伝的影響による健康被害の可能性は明確に否定されているとはいえないとしたが、「通説的・有力な見解として一般的に認識されているとも認められない」と指摘した。

 さらに高裁は、被爆で変異した可能性のある遺伝情報を受け継ぐ被爆2世も放射線の影響を受けている可能性があるとした原告側の主張について、「一つの可能性を指摘したにすぎず、国内外で多数の研究者から支持されているとはいえない」と退けた。

 また、判決は、被爆者援護法上の被爆者と被爆2世には、放射線の影響に関して「医学的・科学的知見に顕著な差異がある」とも述べ、被爆2世を援護対象とするかは、立法府の裁量に委ねられると結論づけた。

 被爆者援護法は、原爆投下時に爆心地近くにいたり、後に近くに入ったりした人などを被爆者と定め、がん検診を含む健康診断や医療費負担などを援護している。一方、被爆2世は援護対象外で、厚生労働省の要綱に基づく健康診断は受診できるが、がん検診は含まれない。

 原告27人は複数の動物実験などを根拠に、遺伝的影響の可能性を否定できないと主張していた。

 長崎原爆の被爆2世も同様の訴訟を起こしているが、一、二審ともに主張を退けられ、最高裁に上告している。放射線の遺伝的影響について、一審・長崎地裁判決は「可能性を否定できないというにとどまる」と判断し、二審・福岡高裁は「証明されていない」とした。

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