長嶋茂雄氏が、読売ジャイアンツ(巨人)の2度目の監督に就いた後、球団担当になった。早朝の散歩、試合の前後、そして休日と、「ミスタープロ野球」を追いかけた。

  • 長嶋さん、銀座やNYでも「素振り」でゴジラ育てた 専属広報の証言

 1996年オフ、清原和博が西武から巨人にフリーエージェント(FA)移籍してきた。内角攻めに苦しむ姿に、自らの打撃論を披露した。「今の選手は球種に『読み』を入れすぎる。私は『読み』は入れません。相手投手の目を見れば、次の球が打てるかどうか分かる」。長嶋氏は現役時代、内角に食い込んでくるシュート打ちの名人だった。投げた球種が分かった瞬間。構えたバットを手のひらの中で少し落として、短く握り直し、脇を締めたのだという。まさに動物的だ。

 天覧試合をはじめ、多くの視線が注がれると特に強かった。「燃える男」は、大根切りや、ワンバウンドの悪球を安打にしたこともあると話した。「打てる球はバットに当たる球。打てない球はバットが届かない球」「来た球を打て」の名言は、そんな感覚から生まれたようだ。

 打つ、守る、走るのすべてに…

共有
Exit mobile version