廃業したまま放置され、廃虚となったホテルや旅館の再生をめざす取り組みが広がっている。課題となる費用を工面するため、国の補助制度のほか、ふるさと納税や入湯税を活用する例も。コロナ禍が明け、戻ってきた観光客を取り込もうとしている。
利根川の清流に臨む水上温泉(群馬県みなかみ町)。2019年に閉館した大型旅館「ホテル一葉亭」(地上7階、地下2階)で今、再生プロジェクトが進む。
高度成長期、水上温泉には多くの団体客が訪れ、「関東の奥座敷」としてにぎわった。だが、バブルが崩壊し、ホテルや旅館が廃業。資金繰りの悪化などで取り壊せず、放置された。
ホテル一葉亭も、温泉街の中心部で閉館したままになっていたが、町と群馬銀行、住宅大手のオープンハウスグループ、東京大学都市デザイン研究室の4者が21年9月、包括連携協定を締結。温泉街再生プロジェクトを始めた。
24年12月、計6棟のうち1棟を解体、残りの5棟を減築などした工事が終了。背の高い建物が消え、谷川岳がよく見えるようになり、自然を感じやすくなったという。
跡地には、日帰り温泉施設や…