Smiley face
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日本賞グランプリに選ばれたドキュメンタリー「ハグしてもいい?」の一場面=NHK提供

 幼少期に男性から性被害を受けた夫が、両親に事実を打ち明ける。その様子にディレクターとしてカメラを向けた。

 イラン人の映像作家エラヘ・エスマイリさん(34)が手がけたドキュメンタリー「ハグしてもいい?」が、教育関連の映像などを表彰する国際コンクール「日本賞」のグランプリに選ばれた。

 髪を隠すヒジャブの着用が義務づけられるなど女性に制約が多いイランで生まれ育った。「女性の権利に関わる物語を共有したい」と映像の世界へ。イランと英国で映像制作を8年学び、今作は2作目だった。

 制作のきっかけは2018年ごろ、夫のホセインさんが育った、イランの宗教都市・コムで少年の性被害の取材をしたこと。優しい夫は普段、手伝いを申し出てくれているのに、この時は様子が違った。

 その約3年後、長文のメールが届いた。

 送り主は自宅に一緒にいた夫。性被害のつらい記憶がつづられていた。

 「私はリビングにいて、彼は…

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