3年ぶりの衆院選。どんな思いを込めて一票を投じますか。有権者の声を紹介します。
石川県能登町で能登牛を肥育する牧場を経営する平林将さん(41)
元日に発生した能登半島地震で大きな被害が出た石川県能登町で、2014年から県のブランド黒毛和牛「能登牛」を育てる牧場「能登牧場」を経営しています。震災前は1100頭を育てており、能登牛の生産量全体の4割にあたりました。
能登町だけでなく、被災地全体でいえることですが、復旧、復興が遅れていると感じています。地震ばかりか、9月には豪雨の被害もありました。断水や停電が発生し、畜産農家の仲間たちは苦労していました。
政治家に期待することとしては、まず第一に、被災地に寄り添い、被災地への支援を続けてもらいたいと思います。そして、既存の制度にとらわれず、支援を拡充してほしいという思いもあります。
例えばですが、私の牧場では、敷地内の通路の舗装がだめになりました。ただ、舗装を直そうにも支援制度がありません。地震と豪雨という未曽有の被害です。前例にとらわれず、様々な分野で柔軟な支援メニューを作り、多くの被災者を手厚く支えていく必要があるのではないでしょうか。
能登には、人々が往来しにくい半島という地理的な特殊性があります。にもかかわらず、復旧工事に携わる作業員が長期的に滞在できる態勢が整っていないようにも感じています。
そうした状況は、復旧や復興の遅れにつながっているのではないでしょうか。復旧や復興に欠かせない作業員が、数多く滞在できる環境を整えることは重要だと考えています。
また、能登では震災前から若い人たちを中心に人口の流出も続いています。住んでいる地域が復旧しないと、引っ越しを余儀なくされる人は更に増えていくと思います。
政治で解決できる問題と、そうでない問題があることは理解しています。むしろ、政治で解決できない問題のほうが多いかもしれません。それでも政治家には、復興後を見据えた能登地域について、明確なビジョンを示してほしいと考えています。(安田琢典)