千葉県袖ケ浦市の市立蔵波小学校に「森」をイメージした第二図書室ができた。保護者や地域の住民からなる同校の図書ボランティアの約20人が手作りで改装した。森の中に入っていくような入り口のほか、寝転んで本を読めるテントや小上がりもあり、児童らは「心が和む。ここに住んでいたい」と大喜びだった。

 元々はコンピューター室だったが、個々の児童にタブレットが配布されるようになり、使われなくなっていた。また同校は東京湾アクアラインの効果により児童数が急増中。全児童数は約1110人(計41クラス)と、図書室が一つでは足りない状態になっていた。そこで約1年前に同校が図書ボランティアに相談し、図書ボランティアの手でコンピューター室を第二図書室に改装することになった。

 目指したのは「いつまでもいられる図書室」「本を好きな子も嫌いな子も来たいと思う図書室」。図書ボランティアの高野咲紀さんは「友達とけんかして居場所がない時、ボーッとしていたい時にも来て欲しい」と話す。そうした思いから生まれたのが、リラックスできるテントと小上がりだった。

 その後、議論する中でまとまったのが「森の図書室」のイメージだった。入り口は、アーチに人工の観葉植物を張りめぐらせて森へ入っていくイメージに。天井付近に人工の緑をはわせ、茶色の縦型の本棚を幹に見立てた。床には明るい緑色のカーペットを敷き詰めた。慣れない大工仕事に苦労しながらもコツコツと作業を進めた。

 もう一つ目標にしたのは、子供たちを思い切りびっくりさせること。夏休み明けの今月2日に披露したところ、児童たちは「すごーい」と歓声を上げ、翌日からは連日満員。図書ボランティアの保護者たちは「この笑顔を見るために1年間取り組んできた」と喜んだ。

 滝沢真校長は「書店がなくなっていき、本に出会える場が図書室だけになってきた。子供たちの行ってみたい場所かどうかが大事」と話す。(堤恭太)

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