オーボエを演奏する京都両洋高校吹奏楽部の古谷千陽さん=2025年5月12日、京都市中京区、河原田慎一撮影

 「吹奏楽で頑張るのを応援してるわ」

 別々の高校に進む前、LINEでそう伝えてくれた。いつもみんなを笑わせて、クラスの輪の真ん中にいた。

 いま、会うことはほとんどないけれど、野球部で頑張っている様子は聞こえてくる。

 そんな幼なじみに、自分も頑張っていることを見せられるチャンスがめぐってきた。

連載 アルプスの夏音

 今年も「夏」を前にした甲子園に各校の吹奏楽部が集います。高校野球の試合で耳にする「あの曲」にまつわる物語や、応援に懸ける思いを描きます。

 京都両洋高校の吹奏楽部でオーボエを吹く古谷千陽(ちひろ)さん(2年)は、6月1日に阪神甲子園球場で演奏することが決まった。

 各校の吹奏楽部などが集まり、野球の応援演奏を披露する「甲子園ブラスバンドフェスティバル」。幼なじみが進んだ市立尼崎(兵庫)も出演校の一つだ。

 中学でも吹奏楽部だった古谷さんは、地元の「市尼」に行こうと思っていた。市尼の吹奏楽部は毎年、春夏の「甲子園」に出場する沖縄県勢の友情応援をしている。

 甲子園のアルプススタンドの演奏にあこがれていた。青空の下で響き渡る音色、わき上がる歓声。野球のことは詳しく知らない。それでも、応援の演奏が聴きたくて、何度も甲子園に出かけた。

 でも、新たな出会いがあった。

LINEの返事は

 3年生の夏に尼崎であった関…

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