世界中を混乱に陥れている米国のトランプ大統領による関税政策で、日本メーカーも工場を持つ隣国メキシコの自動車業界が揺れている。トランプ政権のやり方に憤りはあるものの、現場を歩くとメキシコ特有の複雑な事情も見えてくる。
大小約300社の自動車関連企業を抱える、メキシコ西部のハリスコ州。人口約500万人の州都グアダラハラにある自動車部品メーカーが集まる工業団地には、大きなトラックが何台も行き来していた。
「怒りがわいた。トランプ氏は長年築いてきたメキシコと米国の自動車貿易の仕組みを壊している」。ハリスコ州の自動車部品メーカーでつくる団体の前会長で、顧問を務めるルベン・レセンディスさん(73)は、そう訴えた。
「下請けにしわ寄せ」懸念
各社は今、トランプ氏が打ち出した輸入車への関税の影響に気をもんでいる。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、メキシコの自動車関連産業は輸出総額の3割を占め、その輸出先の8割が米国だ。メキシコで生産・輸出される自動車は、米国やカナダとの貿易協定のもと、3カ国内での部品調達率が一定以上であるなどすれば関税はかからない。メキシコは人件費も安く、日本を含む世界中の自動車メーカーが工場をつくった。
だが、これがトランプ氏が不…