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智弁和歌山―横浜 一回表、力投する横浜先発の織田=新井義顕撮影
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 (30日、第97回選抜高校野球大会決勝 横浜11―4智弁和歌山)

 アクシデントを乗り越えた横浜の150キロ右腕は、決勝の舞台でも躍動した。

 3―1と横浜リードの五回表。先頭打者が左前打を放ち、犠打で1死二塁のピンチを迎えた。それでも、先発の織田翔希(2年)は冷静だった。「いつもと変わらずにいよう」

 前日の練習で、かつて横浜を春夏5回の優勝に導いた渡辺元智・元監督から「走者が出てもしっかり周りを見ろ。全員お前の味方だ」とアドバイスされた。その言葉を胸に、直球主体で勝負し、左邪飛、遊ゴロに打たせて取った。

 福岡で過ごした中学時代、軟式野球部に所属し140キロを超える速球で注目を集めた。

 横浜に入学後は「硬球に慣れなかった」というが、すぐに適応。1年夏から主力として活躍し、昨秋の公式戦では2度完封した。

 しかし、選抜の舞台では苦戦を強いられた。

 胃腸炎や爪が割れるトラブルに見舞われ、本調子からはほど遠かった。

 準決勝の前夜、村田浩明監督に言われた。「怪物になるチャンスだぞ」。決勝前夜には「今度は俺を怪物にしてくれ」。あこがれの先輩、松坂大輔さんの愛称を引き合いに出す言葉に奮い立ち、この日も六回途中まで1失点と好投し、優勝をたぐり寄せた。

 「夏に甲子園に戻ってきて、圧巻の投球をしたい」とさらなる飛躍を誓った。

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