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墓に水をかけ、手入れをする男性=2024年6月4日、和歌山市今福2丁目、松永和彦撮影
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 枯れた花を取り除き、墓石に水をかけ、新しい花を手向ける。

 和歌山市中心部にある市営今福霊園で出会った男性(87)は、2015年に妻の墓を建てた。

 当時は毎日のように墓参りをしていたが、近頃は1週間に1回がやっと。体力的に難しくなった。

 男性は市内に一人暮らし。50代の息子は関東に住むため、なかなか墓参りに帰れない。

 「これから息子たちが墓の面倒を見てくれるかはわからんわな。墓のことで息子に迷惑はかけられん」

 男性はそう話し、霊園を去っていった。

 墓石を撤去して墓地を返す「墓じまい」が全国で増えている。

 厚生労働省の衛生行政報告例によると、遺骨や墓石を別の場所に移す改葬は、2022年度、全国で15万1076件にのぼり、前年度より3万2101件増えて過去最多となった。和歌山県内も同様の傾向で、22年度は3019件で、前年度に比べ1290件近く増えた。

 1918(大正7)年に開園…

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