「恵」の西日本支社=名古屋市緑区
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 障害者グループホーム(GH)運営大手の「恵」(本社・東京)が入居者から食材費を「ピンハネ」するなどの不正を繰り返していた問題で、愛知県と名古屋市などは26日、同社が運営する県内すべての27のGHに対し、事業者指定の取り消しや新規利用者の受け入れ停止の処分を下した。

 恵のGHでは、入居者から食材費を過大徴収していたほか、生活支援をする職員数を水増しするなどして、障害福祉サービス等報酬を不正請求していた。

 最も重い指定取り消し処分を受けるのは、幸田町、名古屋市緑区や北区、守山区、天白区にある五つのGH。このうち、名古屋市の三つのGHは、市の調査に対し、実態と異なる出勤簿を提出するなど調査を妨害していたという。市はこうした行為を含め、「極めて悪質な不正」と判断した。

 県と名古屋市のほか、豊田、岡崎、豊橋、一宮の各市も、所管する恵のGHに対し、新規利用者の受け入れを認めない「一部効力停止」の行政処分を出した。指定された期間(3カ月、6カ月、12カ月)は新規の受け入れができなくなった。

 県内の自治体は、同社がサービス報酬などで不正受給した金額に、罰則目的の加算金を含めた計5億8千万円の返還を命じた。

 大村秀章知事は記者会見で、食材費の「ピンハネ」は「人格尊重義務違反」にあたると指摘。「利用者やその家族を裏切る行為で大きな憤りを感じる」と述べた。(寺沢知海、山田知英)

 県などの処分を受け、厚生労働省は事業者指定の取り消し処分を免れた恵のGHについても運営できないようにする「連座制」の適用を決めた。利用者の家族からは「他の受け入れ先を見つけないといけないのか」などと不安の声が上がる。

「恵の事業、受け継ぎたい」の問い合わせも

 県の集計によると、恵が県内…

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