日本郵便は23日、全国の郵便局のうち75%で不適切な点呼があったことを発表した。同日公表した調査結果に関する報告書からは、公道を使う運送事業者としての「意識」の薄さが社内に広がっていた実態が浮かんだ。
「意識の欠如」「意識が希薄」。A4サイズの報告書で、「原因分析」の欄に割かれた1ページ半程度の間に、同種の表現が6回繰り返された。
「面倒だから」「繁忙のときは」 点呼しない理由
各郵便局への調査の結果、不適切な点呼の理由については、「周囲もやっていないから、自分もやらなくていい」や、「面倒だから管理者がいるときのみやっていた」といった声のほか、「業務繁忙の時は行わなかった」という声が多く確認されたという。
飲酒をしない社員からは「自分は飲酒しないのでアルコールチェックは不要だと思っていた」という意見も多かった。乗務後のアルコールチェックは、乗務前に比べて実施率が低くなっていたといい、「勤務時間中に飲酒をする社員がいるはずがない」という思い込みがあったという。実際には、戸塚郵便局(横浜市)で2024年5月、勤務時間中の飲酒運転事案が起きていた。
不適切な点呼が続いていたにもかかわらず、なぜ見抜けなかったのか。
報告書は「形式的に書類が整っていれば検査等でも発覚しない」という考えのもと、点呼をしていないのに実施したかのように記録を作成する行為があったと説明した。記録の実質的な偽造だ。
一方、本社や支社には「点呼は当然しっかり行われているだろうという安易な考え」があったと分析。書類の確認にとどまっていたことが、「問題を長期に潜在化させた」とした。
同社は再発防止策として、防犯カメラに映る位置で点呼をし、管理者が定期的に確認する運用を今年4月に始めたと説明した。今後は「意識改革の徹底」のほか、点呼のデジタル化も進めるという。