Smiley face
「愛と誠」の原画

 マンガ家ながやす巧さん(75)に代表作「愛と誠」について先日インタビューしたら「時間に追われ雑に描き飛ばしたので見返したことはまずない。展覧会には呼ばれていますので、会場で見ることになるとは思いますが」ですって! 絵の達人というのはもう……。10年前にアニメ「機動戦士ガンダム」について話をうかがった安彦良和さんも「自分の原画を見返すと『雑だなぁ』と思う。『線が走ってる』なんてホメられても、走らざるを得なかっただけ。時間がなかったから」。同じことを言っています(2014年7月14日の本欄「これを『雑』とか言わないで」参照)。

  • これを「雑」とか言わないで

 ながやすさんの言う展覧会とは7月5日に東京都世田谷区の旧尾崎テオドラ邸で始まった「ながやす巧 愛と誠の世界展」(8月20日まで)のこと。厳選した原画約100点(うちカラー33点)が展示中です。主催者のうたい文句は「アシスタントを使わずほぼ一人で描いた超人的作画スタイルから描かれたながやす巧の完璧なデッサン、精密な構図、大胆にして美麗な色彩は、半世紀の時を超え新たな感動を覚えます。その国宝級の原画の価値を是非ご覧になり、日本を代表する巨匠・ながやす巧の奇跡の原画をご堪能ください」。

 ながやすさんの「雑」コメントとのギャップがすごいですが、「愛と誠」の絵はほれぼれするくらいいいですよ。私が持っているのは講談社コミックス版(全16巻)ですが、その原画がナマで見られて幸せでした。

 ながやすさんは1965年デ…

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